FIREに憧れて

経済的自立をして早期退職をするFIRE(Financial Independence & Retire Early)が、日本でも大きな話題になったのは、2022年に仕事に満足していると答えた人がわずか5%しかいないことが原因のひとつでしょう。

一方で、検索予測では「FIRE やめたほうがいい」「FIRE 失敗」が表示されることからも否定的な意見も多く見られます。

本当のところFIREってどうなんでしょう?

FIRE達成後の生活

身近にFIREを達成している人が少ないため達成後の姿がイメージしにくいせいもあり、FIREというとリゾートでリッチなドリンクを片手にのんびりするという毎日を送っているような画像を見かけます。けれども、経済的自立=仕事をしなくても現在の生活は維持できる、なので湯水のようにお金を使うのとはまた別…。

まずFIREの条件を非常にざっくりと説明すると、年間支出の25倍の金融資産があれば、早期リタイアが可能ということです。25倍というのは、FIRE誕生の地アメリカの株式市場が、平均で年7%の成長率を続けてきたこと、そして3%のインフレ率を引いて4%になることからきています。

個人的には、アメリカでFIRE=金融資産の運用益で暮らすという定義なのは、不動産投資の利回りがそれほど高くなく(新築でなくても価値が下がらないため初期費用が高い)、逆に株式などの利回りが高いためではないかと考えています。日本では経済的自立を得ている人たちで多いのはアパートの大家さんで、皆さんの身近にもそれなりにいるのではないでしょうか。

特にすごくお金を使っているようには見えませんが、自由時間が多いのは確かそうですね。

本気でFIREを目指しているわけではなくても、憧れている人はいると思います。もし少しでも経済的自立に興味を感じるようであれば、「経済的自立を達成した後で何をしたいのか」を自分に聞いてください。

ライフプランニングあってのFIRE

たくさんの人とお話をして思うのですが、定年後にやりたいこと=今はできないことという例は少ないのではないでしょうか。世界一周旅行などのまとまった時間が必要なものは別ですが(それにしたって定年後の長くても1年を使うだけなので、それが日常になるというのとはまた違うお話ですね)、ガーデニングやボランティアなどは少しずつやるという選択肢もある気がします。

そこで、まずは定年後にやりたいと思っていることを今やってみてはいかがでしょうか。「仕事が忙しくて平日は時間がないし、週末は疲れ果ててるうえに家事もたまっている」。よくわかります、皆さんそうおっしゃいますし、自分自身が毎日これ以上に何かを追加してできるとは思えません。

最初はひと月に1日でいいから定時で退勤してみませんか。時間ちょうどに席を立つくらいの定時退勤、1回目は勇気がいります。歯医者に行くのでというような言い訳を用意するのもいいかもしれません。(たいていの場合いちばん言い訳が必要なのは自分自身に対してだったりします。ですので実際に定時に会社を出ないと間に合わない時間に歯医者を予約するのもいいでしょう)

定時退勤できるということを周囲と自分に示すことができたら、徐々に日数を増やしてみます。月に2回→4回、そうなればもう週に1回は定時退勤できていることになるので、やりたかった様々なことができるようになります。定時退勤の日に家事を片付け週末2日間は朝からやりたかったことをする、あるいは定時退勤の日にジムに行くなど体を動かしてリフレッシュすることで、絶え間ない疲労感から解放されるという人もいます。疲れている状態から抜け出すことができると、思考もクリアになりやりたいことや計画がどんどん広がっていきます。

そうなったら、次に週末に1日休暇をプラスしてみてください。やりたいことが明確だから休みを取るのではなく、仕事以外の時間を過ごす自分に慣れるための休暇です。サラリーマンとしての自分から解放される時間という言い方もできます。

仕事以外の時間が持てるようになると、ライフプランについて真剣に考えるようになると思います。残業手当がなくなっても生活はしていけるのか、年金はどのくらいで範囲内で生活できるのか。

自分の人生の決定権は自分にあります。自分にしかありません。